国際スキー技術検定(IT検定)を受けようとする方の参考になるよう私なりに説明してみたいと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・サンシャインパラレルスキースクール 校長 山嵜昭彦
「SIA・IT検定」と「SAJ・バッジテスト」とのレベルの比較。
IT検定 | | バッジテスト |
セミブロンズ
ブロンズ
セミシルバー
シルバー
セミゴールド
ゴールド
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←→
←→
←→
←→
←→
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5級
4級
3級
2級
1級
テクニカルプライズ
クラウンプライズ
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(上はあくまで私個人の見解によるもので公式のものではありません。・・・・・Y)
セミブロンズ
種目 |
プルークボーゲン
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注意点 |
プルークボーゲン
●両スキーのインエッジをほんの少し立て、踵をひねり押し出したV字形。
●足首、膝の充分な曲げ伸ばし。
●ズレが大切。伸ばし・曲げ動作がズレにつながること。
●バランスが大切。後傾ではスキーがうまくズレて回ってくれません。
●まわし始めは、無理にスキーをまわそうとせず、ターン方向に立ち上がると、スキーが真下の方向に回り込む。
●両手の開きも、左右のバランスがとりやすいリラックスした構えで滑る。
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ひと言 |
ハの字でターンができれば合格します。
スキーを始めたらすぐに受験しましょう。
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ブロンズ
種目 |
初歩のシュテムターンまたは初歩のパラレル
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注意点 |
両スキーをそろえて回るターン後半のスピードコントロールがどれだけ上手にできるかがポイント。
シュテムターン
●ターン後半の内スキーの引き寄せによるエッジの切り替えを覚えること。
●プルークボーゲンより速いスピードのコントロールの技術をつかむこと。
パラレルターン
●上下動を大きく使い、切り替え動作やスピードコントロールができて、ターンの始めと終わりが平行であれば、フォールラインでのまわし込みがV字形であってもよい。
●高い姿勢から沈み込みながら外スキーに荷重する(山回り)。その姿勢から前の方へ立ち上がることで、両スキーのエッジが楽に切り換えられる。
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ひと言 |
パラレルをしようとした時に、スタンスがハの字のようでも、パラレルのような同時切り替えが見られれば良いでしょう。
シュテムは開き出しと引き寄せ動作が見られれば良いでしょう。
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セミシルバー
種目 |
シュテムターン、パラレルターン、初歩のウェーデルン
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注意点 |
シュテムターン
●検定は山開き。斜滑降か山回りからスタートし、次の外スキーとなる山スキーのテールを開き出してターンの方向付けをし、荷重移動しながら内スキーを引き寄せ、両スキーを平行にしてターンしていく。
● 内スキーの引き寄せのタイミングにストックをつく。
● 一連の動きをスムーズに行う
● 山スキーを開き出した後に荷重移動をはっきり行う
パラレル
● 斜滑降または山回りから、立ち上がりながら抜重し上体のわずかな先行によってスキーを斜面の下に向ける。次に沈み込みながら、外足荷重を強め、脚部のひねりによってずれをコントロールしてまわし込む。
● 外スキーにしっかりと乗った山回りで沈み込みながらターンを仕上げる。
● 足首、ひざを前方にしっかりと曲げ、からだ全体(特に足首)に緊張感をつくる。
● ストックをつきながら谷側に立ちあがり、エッジを切り換える。
● ひざからのひねりを加えながら沈み込みを始め、山回りターンを行う。
● 足を閉じることを意識するよりも、弧を丸くするように心がける。
(初歩的な)ウェーデルン
●セミシルバーでのウェーデルンは、上下動を使いプルークウェーデルンの発展形からパラレルスタンスに近づける。伸び上がりながら外スキーをまわし、沈み込みながらまたまわす(テールを押し出す)といった、とぎれのないターンリズムが目標である。
● スピードは要求されないので、ゆっくりとリズムをとるようにする。
● オーバースピードに気をつける。ずらしてもよいから、リズムを優先する。
● スタンスは平行が望ましいが、小さなV字スタンスでも良い。ただしできるだけスタンス幅を変えないほうが良い。
● タイミングをとる程度のストックワークが必要。
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ひと言 |
ウェーデルンには自信がないが、パラレルはまあまあ、シュテムだったらたいていの斜面で滑れるというレベルがセミシルバー。
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シルバー
種目 |
シュテムターン、パラレルターン、ウェーデルン
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注意点 |
シュテムターン
●セミシルバーのシュテムと運動要領は同じだが、横ずれを少なくすることによってある程度のスピードを保つ。また引き寄せのタイミングはフォールライン付近がよい。
●開き出し、荷重移動、ストック、引き寄せの一連の動きをスムーズに行ない 、丸い弧を描くよう心がける。
●引き寄せは無理に閉脚にすることなく、ナチュラルスタンスがよい。
● スキーの平行を保つには、内足首の緊張が不可欠である。
パラレル
●パラレルターンでは一つだけのターン技術に片寄るのはよくない。たとえば、基本運動だからといって大きな上下動の動きだけではバランスをくずす原因ともなりかねない。からだを中間姿勢に保ち、地形に合わせながら脚部の曲げと伸ばしを使い、雪面からスキーに加わる力に応じてターンするのがよい。理想的には、地形によって伸び上がり・沈み込み、曲げまわし・ジャンプの技術を使い分ける。
● ある程度のスピードが求められるが、コントロールが先決である。
● ひざが割れない程度の開脚で横ずれをコントロールし、正確な体重移動とエッジの切り換えが同時に行われればよい。
● スムーズな上下動と目線の先行。
ウェーデルン
●シルバーでのウェーデルンは比較的整備された斜面で行うので、上下動を使ったウェーデルンで対応する。ただし、パラレルターンの延長のようなターン前半で伸び上がり、後半で沈み込むといった時間差のあるターン運動ではなく、上体をフォールラインに正対させることによって、伸び上がりながらスキーをまわし、沈み込みながらまたまわすといった、とぎれのないターン運動が求められる。
● あまりハイスピードは要求されないので、リズミカルに、左右の弧の大きさを一定に保つことに意識を集中させる。
● オーバースピードに気をつける。ずらしてもよいから、リズムを優先する。
● ストックワークを大切にしてできるだけ左右均等な弧を描くよう心がける。
● スキーを早くまわそうとあせるより、フォールラインへの正対を保ち、外足から外足と踏み込みながらまわし込む意識を大切にすること。
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ひと言 |
シルバーではスキーを平行にしたままでターンを始める運動能力やスキーの操作力、スピードコントロールが注目される。ナチュラルスタンスでスピードコントロールしてリズムを作り、左右均等の弧を描くようにする。
スタンス:従来はレベルが上がるにしたがって閉脚スタンスが求められていたが、現在は運動効率のよいナチュラルスタンスが一般的である。
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セミゴールド
種目 |
パラレル、ウェーデルン、踏み換えターン、総合滑降
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注意点 |
セミゴールドからは検定バーンが急になり尚且つ悪雪、コブ斜面も含むようになる。
その斜面の中で安定した演技が要求される。セミゴールドの場合はスピードよりも確実性が重要でしょう。
パラレル
●意識して、伸身、屈身動作を使い分けられることが必要。
ウェーデルン
●バランス感覚を養うためにもスタンス幅を狭くすることも必要。特にコブ斜面では閉脚での操作を心がけること。
踏み換えターン
●最近では必要性が薄くなった感がある踏み換えターンだが、応用範囲は広い。
●山スキーのステップによるラインの修正(シュテム、パラレルでの開き出し)の練習から谷足での蹴りによる加速につなげる。
●最近のカービングスキーではやりづらいかもしれないが、弧をすこし浅めにしたほうが良いかも。
●従来の明確なシェーレン動作は必要ない。
総合滑降
●3種目を演技しなければならないので、バーンの使い方をうまく考える。
スピードを落とさずに種目の切り替えを明確に表現しよう。
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ひと言 |
スピードを出すことより、安定性、操作の確実性のほうが重要。
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ゴールド
種目 |
パラレル、ウェーデルン、踏み換えターン、総合滑降
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注意点 |
ゴールドの検定では与えられたバーンの中でセミゴールドの確実性に加えスピードが必要になってきます。
パラレル
●伸身、屈身動作がどんな斜面でも無意識でできるようにしたいもの。
●ターン後半のスキーの走りと、スムーズなエッジの切り替え。
ウェーデルン
●ターン後半にスキーの動きを止めない。
●スキーと体が同時に落下していく積極性。
踏み換えターン
●積極的な踏み換え動作。
●ステップした後に重心をスムーズに次のターンの内側に移動させること。
総合滑降
●スムーズな流れの中で積極的にスキーを操作していること。
●スピードを出さないといけないが、そのスピードが見てる者に恐怖感を与えてはだめ。
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ひと言 |
そこらへん(?)のイントラよりもうまくないと難しい。
ゴールドに合格すればどのゲレンデで滑っていても「うまい」と、言われる(はず)。
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サンシャインパラレルSSで今まで行ってきた検定、私の独断と多少の偏見、あと出版物を参考にして書いてみました。検定を受ける際の、またスキーのトレーニングのすこしでも参考になればと思います。
また、このページは気がついたり思い立ったらすぐに書き加えたり変更するつもりです。
ここに書いてあることに関しての質問、意見、異見、なんでも受けつけます。
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